【観察研究】アピキサバンは透析患者の心房細動にも有効ですか?
【背景】
日本では経口抗凝固薬は基本的にすべて禁忌に該当(ワルファリンは禁忌であるが使用している)しているが、海外では透析患者へもDOACを使用しているようである。
【文献】
Outcomes Associated with Apixaban Use in End-Stage Kidney Disease Patients with Atrial Fibrillation in the United States.
PMID:29954737
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【論文のPICO】
P:経口抗凝固薬使用中の心房細動を有する透析患者(25523人)※
I:アピキサバン使用(2351人)
C:ワルファリン使用(23172人)
O:脳卒中・全身性塞栓症・大出血・消化管出血・頭蓋内出血・全死亡
【研究対象集団】
Medicare beneficiaries included in the United States Renal Data System (October 2010 to December 2015).
→2010.10~2015.12における米国の腎臓データシステムでのメディケア登録者を対象
Table1 Apixaban Warfarin
平均年齢 68.9歳 68.2歳
HD 2216人 21930人
PD 135人 1242人
CHA2DS2-VASc 5.27 5.24
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?
→Prognositic scoreでマッチング
【結果】
Table2
●脳卒中/全身塞栓症
Apixaban Warfarin HR
81/2351 373/7053 0.88(0.69-1.12)
●大出血
129/2351 715/7053 0.72(0.59-0.87)
●消化管出血
155/2351 710/7053 0.86(0.72-1.02)
●頭蓋内出血
21/2350 111/7050 0.79(0.49-1.26)
●全死亡
159/2351 753/7053 0.85(0.71-1.01)
Table9.10
Apixaban10mg VS Apixaban5mg
●脳卒中/全身塞栓症 0.61(0.37-0.98)
●大出血 0.98(0.68-1.42)
●消化管出血 1.17(0.84-1.63)
●頭蓋内出血 0.65(0.25-1.67)
●全死亡 0.64(0.45-0.92)
【まとめ・感想】
脳卒中/全身性塞栓症は有意差なし。大出血はアピキサバンで有意に少ない。
アピキサバン10mg/日では5mg/日およびワルファリンに比べて脳卒中/全身性塞栓症、死亡が有意に少ないという結果。
確かにアピキサバンはDOACの中では腎排泄率が最も低いですが透析患者に対してもワルファリンと比べれば安全な印象。
ただ、あくまで観察研究であることや塞栓症リスク減少分と出血リスク増大分を比べた時の利益がしっかりあるのかどうかはわからないため、積極的にアピキサバンを勧められるかどうかは不明。(そもそも国内だと透析にDOAC使えないし・・・)
今後いろんなデータが蓄積してきたら使用できるようになるのでしょうか。
その前に腎機能を気にしなくてよいDOACが発売されればよいのですが・・・。
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