【RCT】バロキサビル(ゾフルーザⓇ)の有効性・安全性はどうですか?【CAPSTONE1】
【背景】
次のシーズンで使用量増加が予想されるバロキサビルの臨床試験の結果がNEJMに出ていたのでそちらを。
参考文献:Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1716197?query=featured_home
---------------------------------------------------------------------------------
研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:12-64歳の合併症のない急性インフルエンザ罹患患者
I:バロキサビル40-80㎎
C:プラセボ
C:オセルタミビル75㎎/日を5日間
O:インフルエンザ症状緩和までの時間
※除外基準:妊娠中の女性、体重40㎏未満、入院患者、基礎疾患をもつ患者
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカムといえる
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →二重盲検されている
・無作為化されている →されている
・解析方法は →ITTI解析されている
・追跡率 →95%
・患者背景 →下記図を参照
・スポンサー →塩野義製薬
【患者背景】
Table1
【結果】
●インフルエンザ症状緩和までの時間(バロキサビルVSプラセボ)
Figure2→53.7hr vs 80.2hr (有意差あり)
●インフルエンザ症状緩和までの時間(バロキサビルVSオセルタミビル)
Figure S4→53.5hr vs 53.8hr (有意差なし)
●副作用
Table2 バロキサビル vs プラセボ vs オセルタミビル
全有害事象→20.7% vs 24.6% vs 24.8%
【まとめ・感想】
インフルエンザ症状緩和までの期間はオセルタミビルと同等という結果。
ウイルス減少までの時間はバロキサビルが有意に短いが、それが実際にどういう結果となって現れるかは不明。アウトブレイクしづらいとかに繋がれば有用かも?
→FDAの資料では1-3日間の家族内感染率でも有意差はついていない。
オセルタミビルが5日間しっかり飲めない、他薬剤で吸入手技が難しいなどあれば選択肢となるかもしれないが、この試験ではそのような患者は対象ではない。
コストや未知の副作用の可能性などを考えると現状すぐに第一選択にする理由には乏しい印象。H3N2型への投与では成人で約10%、小児では約20%が耐性化するとの情報もすでにある。
そもそもインフルエンザ薬は症状改善まで1日早める程度の効果。薬を使用するかどうかも考慮すべき問題だろう。
ハイリスク患者へのCAPSTONE2の論文化を待ちたいところ。
薬剤部的には吸入指導の手間が少なくなるなどのメリットはある。
Supplementary Appendix
https://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa1716197/suppl_file/nejmoa1716197_appendix.pdf
誰も教えてくれなかった実践薬歴 | ||||
|
薬局で使える実践薬学 | ||||
|