【RCT】血液透析をしているT2DM患者にスタチンは有効ですか?【4D study】
【背景】
SHARP、AURORAなども含めて、自分が定期的に論文を読むきっかけになった文献である。せっせとスタチンを提案していた自分はかなりの衝撃を受けた覚えがある。
参考文献:Atorvastatin in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus Undergoing hemodialysis
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:維持透析を始めて2年未満の18~80歳のT2DM患者1255例
I:アトルバスタチン20㎎/日
C:プラセボ
O:心臓死、致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合
※除外基準:LDL-C<80㎎/dlまたは>190mg/dl、TG>1000㎎/dl、肝機能異常、3か月以内のPCI施行例、慢性心不全患者、収縮期200以上・拡張期110以上の高血圧
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカム
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →二重盲検
・無作為化されている →されている
・解析方法は →ITT解析されている
・追跡期間 →4年(中央値)
・患者背景 →下記図を参照
【患者背景】
Characteristic | Placebo | Atorvastatin |
Age | 65.7±8.3 | 65.7±8.3 |
time receving dialysis(mo) | 8.4±6.9 | 8.2±6.9 |
SBP | 145±22 | 146±22 |
DBP | 76±11 | 76±11 |
BMI | 27.5±5.0 | 27.6±4.6 |
LDL-C | 127±30 | 125±29 |
Myocardial infraction(%) | 17.3 | 17.9 |
Stroke or TIA | 18.2 | 17.4 |
N Engl J Med. 2005 Jul 21;353(3):238-48.より引用
【結果】
Endpoint | Placebo | Atorvastatin | RR | (95%CI) |
Primary | 243(38) | 226(37) | 0.92 | 0.77-1.10 |
death from cardiac causes | 149(23) | 121(20) | 0.81 | 0.64-1.03 |
Nonfatal myocardial infarction | 79(12) | 70(11) | 0.88 | 0.64-1.21 |
Fatal stroke | 13(2) | 27(4) | 2.03 | 1.05-3.93 |
Nonfatal stroke | 32(5) | 33(5) | 1.04 | 0.64-1.69 |
All cardiac events combined | 246(39) | 205(33) | 0.82 | 0.68-0.99 |
Death from all causes | 320(50) | 297(48) | 0.93 | 0.79-1.08 |
N Engl J Med. 2005 Jul 21;353(3):238-48.より引用
【まとめ・感想】
HDをしているDM患者へのスタチンは心血管イベントを減らすことができないという結果。心臓死は減る傾向があるようにも見えるが、致死的脳卒中は有意に増えている。
実臨床でもHD患者へスタチンが開始されることはあるが、処方意図は確認したほうがよいかと思われる。
SHARP、AURORAも記事にできれば。
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