病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

【メタ解析】フロセミドは持続投与したほうが良いですか?

2019.2.4修正加筆

 

フロセミドの持続投与と間欠投与を比較したメタ解析を読んでみる。

 

参考文献:Continuous Infusion versus Intermittent Bolus Injection of Furosemide in Critically Ill Patients : A Systematic Review and Meta-analysis

PMID:29454528

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研究デザイン:メタ解析

 

【論文の内容】

P:重症の肺水腫または末梢浮腫患者(16歳未満は除く)

I:フロセミド持続投与

C:フロセミド間欠投与

O:全死亡、入院期間 

 

※副次評価項目:最初の24時間の尿量、治療期間中の血清クレアチニン変化

 

・Primary Outcomeは明確になっているか   →  明確である

・真のアウトカムかどうか            →  真のアウトカムといえる

 

【メタ解析における4つのバイアス】

●評価者バイアス

Titles and abstracts were in dependently screened against eligibility criteria by 2authors(A.L.andA.V.).

The same 2 reviewers in dependently screened fulltexts of qualifying papers. Any disagreements at any stage were resolved bythe third reviewer(K.N.).

→2人で審査、意見の相違は3人目のレビュアー。

 

●出版バイアス

Ovid, MEDLINE,EMBASE,PubMed,and the Cochrane Database of Systematic Reviews were searched from their inception until June2017.

Publications not written in the English language were excluded.

The bibliographies of included papers and relevant systematic reviews were hand-searched for additional papers.

Experts and authors of papers identified in the search strategy

were contacted for additional data or missing data.

→Ovid MEDLINE EMBASE PubMed Cochraneから。2017年6月まで。

 英語のみ。追加データ、不足データは問合せ。 

 

 

●元論文バイアス

RCT、ケースコントロール研究、観察研究

コクランのバイアス評価ツール、Newcastle-Ottawa Scaleにてバイアスの評価がされてる。

Funnel plotsは使用されていない

 

●異質性バイアス(I2)

→結果を参照

 

 

【対象study】

f:id:pharmapon:20190202231828p:plain

以下加筆

RCTに関して対象患者群を見ると、

・心臓外科手術の患者

ICUまたはCCU入室中の肺水腫or体液過剰患者

・心原性肺水腫患者

・肺水腫または体液過剰でPaO2/FIO2 300未満

ICU入室中の体液過剰患者

・急性心不全患者

心不全、腎障害患者

 

【結果】

●全死亡

f:id:pharmapon:20190202231844p:plain

 

 ●入院期間

f:id:pharmapon:20190202231854p:plain

 

●24時間尿量

f:id:pharmapon:20190202231904p:plain

 

クレアチニン変化

f:id:pharmapon:20190202231917p:plain

2018 Oct;32(5):2303-2310.より引用


【まとめ・感想】

 尿量は持続投与が多いが、入院期間は間欠投与のが短く全死亡は変わらないという結果。全死亡は変わらないものの入院期間が短いほうが患者にとってのメリットは大きそう。尿量は代用アウトカム。

解析対象の試験も症例数が少なかったり単施設RCTだったりとそれほど信頼性が高そうなものではないように思うが、DOSE trial(PMID:21366472)や、他のメタアナリシス(PMID:28940440)などの結果を見てもおおむね一致した結果が得られていそう。

特に持続投与を支持する結果ではない印象。

 

以下加筆

D先生にご指摘いただき対象の違う研究が散見されるとのこと。

appendixが参照できないためどのような基準で選択されているのか詳細は不明だが、対象患者をもう少しそろえるとまた違った結果になる可能性があるのか。

ただ、PMID28940440では心不全患者のみを対象としており、そちらでも特に持続投与が支持される結果ではないように思われる。

このメタ解析のように持続のが尿量が得られることは実臨床でも経験するが、尿量upが予後改善には必ずしも結び付かないことはこのメタ解析からわかることの1つかも。