【RCT】エゼチミブの効果はどうですか?【IMPROVE-IT】
今更感がすごいけどしっかり読んだことがなかったのでIMPROVE-ITを読んでみる。
PMID 26039521
--------------------------------------------------------------------------------
研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:50歳以上でACS(ST上昇、非ST上昇の心筋梗塞、高リスク不安定狭心症)による入院後10日以内の患者。
発症後24時間以内のLDL-Cが非治療の患者では50-125mg/dL、長期治療下の患者では50-100mg/dL
I:シンバスタチン40㎎ + エゼチミブ10㎎
C:シンバスタチン40㎎
O: 心血管死、心筋梗塞、再入院が必要なUAP、冠動脈血行再建術(無作為化後30日以上)、脳卒中の複合アウトカム
副次的評価項目: 全死亡、冠動脈イベント、脳卒中
除外基準:CABG予定、CCrが30mL/min以下、活動性肝疾患、強力なスタチンの使用、シクロスポリンやジルチアゼム、フィブラート、アミオダロンなどの使用、重症心不全、肺水腫など
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカム
・適切なランダム化がされているか →されている(ACS標準治療後にランダム化)
・盲検化されているか →されている
・解析方法は →ITT
・追跡率 →約91%
・追跡期間 →約6年(中央値)
・サンプルサイズ →不明(イベント数は検出力90%で5250例必要という意味?)
【患者背景】
シンバスタチン単独 | シンバスタチン+ゼチーア | |
年齢 | 63.6±9.8 | 63.6±9.7 |
男性(%) | 75.9% | 75.5% |
体重 kg | 83.0±17.4 | 82.9±17.4 |
糖尿病 | 27.3% | 27.1% |
高血圧 | 61.3% | 61.6% |
心不全 | 4.1% | 4.6% |
喫煙者 | 33.5% | 32.5% |
MI既往 | 20.7% | 21.3% |
PCI既往 | 19.8% | 19.5% |
CABG既往 | 9.3% | 9.3% |
【結果】
シンバスタチン単独 | シンバスタチン+ゼチーア | HR(95%CI) | P-Value | |
primary endpoint | 34.7% | 32.7% | 0.936(0.89-0.99) | 0.016 |
【副作用】
おおきく差はなし。
【感想・まとめ】
primary endpointぎりぎり有意差あるものの効果としてはかなり微妙な印象。症例数がかなり多いので有意差が出た部分もある?
NNT=50で、エゼチミブの薬価が177円なので365*177*6*50=約2000万円かけて1件のイベントが減ると考えると・・・・。
アジア人の割合は5%程度であり、日本人に対しての効果はもう少し低いものになる可能性がある。EWTOPIA試験の結果を早く読みたいところ。
REAL-CAD(PMID:29735587)をみても日本人での心血管イベント数はかなり少ない印象。
個人的には脂質コントロール強化する場合はスタチン→スタチン増量→エゼチミブ追加の流れで治療していくのがよいのかなぁと思ったり。
ガイドラインでは2次予防でLDL70以下を目標に設定されているけれど、本当にそこまで全例下げる必要があるのか疑問。
いろんなデータを見れば見るほどわからないことが増えていく・・・。