【RCT】高齢者に対する一次予防としてのエゼチミブの効果はどうですか?【EWTOPIA75】
EWTOPIA75の結果がpublishされたので読んでみる。
参考文献:Ezetimibe Lipid-Lowering Trial on Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Disease in 75 or Older (EWTOPIA 75): A Randomized Controlled Trial.
PMID:31434507
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:75歳以上でLDL-C≧140mg/dlで下記※のうち1つ以上満たす患者
I:エゼチミブ10㎎/d+食事療法
C:食事療法
O:心臓突然死、心筋梗塞、血行再建術(PCIorCABG)、脳卒中の複合
※高血圧、糖尿病、低HDL-C、高TG、喫煙、脳梗塞の既往、PAD
除外基準:空腹時TG400 mg/dL以上、心筋梗塞の既往、冠血行再建術(PCIorCABG)の既往、治療を必要とする狭心症、脳卒中発症後6ヶ月未満、重度の肝障害、重度の腎障害、悪性腫瘍、認知症、FH、Af、過敏症、他の治験に参加中
副次評価項目 各種心血管イベント、各種脳血管イベント、死亡、入院、悪性腫瘍、認知症発症、大腿骨頸部骨折、ADL、施設入所、経済効果
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカムといえる
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →PROBE法
・解析方法は →ITT PPS
・追跡率 →両群約90%
・追跡期間 →4.1年
・患者背景 →下記を参照
・サンプルサイズ →6000例
・スポンサー →バイエル、MSD、老年医学会、心臓財団、アテローム性動脈硬化学会
【患者背景】
ezetimibe(n=1716) |
control(n=1695) |
|
age |
80.6±4.7 |
80.6±4.7 |
male |
440(25.6%) |
432(19.2%) |
23.6±3.5 |
23.5±3.7 |
|
LDL(mg/dl) |
161.9±20.1 |
161.3±19.4 |
SBP(mmHg) |
137.0±15.8 |
135.8±15.9 |
DM |
433(25.2%) |
434(25.6%) |
Circulation. 2019 Aug 22.より
【結果】
Ezetimibe | Control | HR | 95%CI | P-value | |
複合脳心血管イベント (Primary) |
89(5.2) | 133(7.8) | 0.66 | 0.50-0.86 | 0.002 |
複合心イベント | 26(1.5) | 43(2.5) | 0.6 | 0.37-0.98 | 0.039 |
全死亡 | 188(11.0) | 173(10.2) | 1.09 | 0.89-1.34 | 0.43 |
脳卒中 | 47(2.7) | 60(3.5) | 0.78 | 0.53-1.14 | 0.2 |
冠動脈血行再建 | 10(0.6) | 26(1.5) | 0.38 | 0.18-0.79 | 0.007 |
Circulation. 2019 Aug 22.より
【まとめ・感想】
症例数が足りていないものの、Primary endpointは有意に減少という結果。
ただ、プラセボ投与はなく、PROBE法であり血行再建術が大きく減少していることは割り引いて考えたほうがよさそう。
今回の試験は1次予防の効果を見ており、2次予防に対するエゼチミブ単独の効果は不明。今度ジェネリックが出るらしいが薬価は圧倒的にスタチンのが安いので1次予防に使用するにしてもスタチンが先に来る気がする。
個人的にはあんまりポジティブな結果には思えない。