病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

【RCT】AfとCAD合併でPCI or CABG後1年たったらDOAC単剤でよいですか?【AFIRE】

 AFIREがpublishされたので読んでみる。

参考文献:Antithrombotic Therapy for Atrial Fibrillation with Stable Coronary Disease

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1904143?query=recirc_curatedRelated_article

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験) 

論文の内容

P:1年以上前にPCI or CABGを施行、もしくはCAGで血行再建不要のCAD(50%以上の狭窄)を有する20歳以上のAf患者2236人

 I:リバーロキサバン単剤

C:リバーロキサバン+抗血小板薬1剤(ASA or P2Y12i)

O脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血行再建が必要な不安定狭心症、全死亡の複合

大出血

 

有効性は非劣勢検討で非劣勢マージン1.46

安全性(大出血)は優越性検討

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカム

・適切なランダム化がされているか   →されていそう

・盲検化されているか         →オープンラベル  

・解析方法は              →有効性 mITT 

                   安全性 PPS

・追跡率               →約86-90%

・追跡期間                →約24.1か月(中央値)

・患者背景             →下記参照

・サンプルサイズ          →約2200人

・スポンサー               →バイエル 

 

 

 

【患者背景】

患者 Rivaroxaban Monotherapy Combination Therapy
年齢 74.3±8.3 74.4±8.2
75歳以下 47.40% 47.60%
男性 79% 79.10%
BMI 24.5±3.7 24.5±3.7
DM 41.60% 42.10%
MI既往 34.70% 35.50%
PCI 70.60% 70.70%
DES 69.20% 66.20%
BMS 23.70% 23.70%
両方 2.60% 5.00%
CABG歴 11.30% 11.50%
Paroxysmal 53.80% 52.30%
Persistent 14.80% 15.80%
Permanent 31.30% 31.90%
CCr 62.8±25.7 61.7±24.0
<30ml/min 5.10% 5.80%
30-50ml/min 28.50% 28.20%
≧50ml/min 66.40% 66.00%

TableS2 TableS3にさらに詳しくのってる。

 

【結果】

ENDpoint Rivaroxaban
Monotherapy
Combination
Therapy
HR P-value
Primary 4.14% 5.75% 0.72(0.55-0.95) <0.001
虚血性脳卒中 0.96% 1.31% 0.73(0.42-1.29)  
出血性脳卒中 0.18% 0.60% 0.30(0.10-0.92)  
心筋梗塞 0.59% 0.37% 1.60(0.67-3.87)  
不安定狭心症 0.59% 0.84% 0.71(0.35-1.44)  
全身性塞栓症 0.09% 0.05% 1.97(0.18-21.73)  
全死亡 1.85% 3.37% 0.55(0.38-0.81)  
心血管死 1.17% 1.99% 0.59(0.36-0.96)  
非心血管死 0.68% 1.39% 0.49(0.27-0.92)  
大出血 1.62% 2.76% 0.59(0.39-0.89) 0.01

 TableS4以降にも詳しくのってる。

 

【まとめ・感想】

PCIやCABG後1年たったらOAC単剤を推奨するような結果。

DAPT期間は短く、抗血栓薬の併用は少なく。といった流れを後押しする感じ。日本人対象で、日本のイグザレルト用量での結果はとても参考になる。

今後はむしろどのような症例で併用を検討すべきか。といった視点に変わっていくのかもしれないなーと思いました。