病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

長時間作用型硝酸塩製剤はどのような患者に推奨されるのか?

長時間作用型硝酸塩製剤は製品だとアイトロールやニトロールR、フランドルテープやニトロダームTTSなどで一般的に広く用いられている。

ただ、2次予防目的での長期間の使用は逆に心筋梗塞の再発や心不全を増加させることも報告されている。

攣縮の患者にはおおむね推奨されることが多いと思うが、攣縮に対しても第一選択はCCBであるように思う。

 

 

【参考文献】

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=11558843

心筋梗塞の二次予防目的にISDN徐放錠20mg*3/日とプラセボを比較。

ランダム化がしっかりされているのかよくわからないのと、ISDN群でも半数近く使用していなかったり、プラセボ群でもISDNを使用していたりとデザインがいまいちな印象があるが、ISDN群でMIや心不全や突然死が多いという結果。

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 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=8933241

心筋梗塞の二次予防目的に硝酸塩製剤とプラセボを比較。

上記の試験とほぼ同様の結果。

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11279318

こちらもほぼ同様の結果

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30310466

ニコランジルと長時間作用型硝酸塩についてのレビュー

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20557963/

CADへの硝酸塩使用のメタ解析

発作回数やニトログリセリン消費量、QOL、運動時間などの改善には効果的な可能性

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26549714

HFpEFの患者への硝酸イソソルビド

硝酸イソソルビド投与群でプラセボに比べて活動性を悪化させ、QOLや運動耐用能も改善なし。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28377439

HFpEFの患者への長時間作用型硝酸塩

硝酸塩の使用は予後を悪化させる可能性。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7661937

AMI後24時間以内の患者への硝酸薬

死亡率低下など示せず。

 

 

全体的にはあまり推奨される患者がいない印象。HFpEF患者にも推奨されない。

もちろん患者背景などによって結果は変わってくると思うが、積極的に使用を推奨するような薬剤ではない気がする。頭痛もよく経験し、男性ではPDE阻害薬との併用にも注意。