病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

【メタ解析】フロセミドは持続投与したほうがよいですか? その2

今度は心不全患者を対象としたフロセミドの持続投与と間欠投与を比較したメタ解析を読んでみる。

 

参考文献:Continuous infusion vs. intermittent bolus injection of furosemide in acute decompensated heart failure: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials.

 

PMID:28940440

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研究デザイン:メタ解析

 

【論文の内容】

P:急性非代償性心不全患者(先天性心疾患、弁膜症、16歳未満、心臓OPE後は除外)

I:フロセミド持続投与

C:フロセミド間欠投与

O:全死亡、入院期間 

 

※副次評価項目:血清クレアチニン変化、体重変化、低K血症、BNP、24・72時間尿量

 

・Primary Outcomeは明確になっているか   →  明確である

・真のアウトカムかどうか            →  真のアウトカムといえる

 

【メタ解析における4つのバイアス】

●評価者バイアス

Titles and abstracts were independently screened against eligibility criteria by two authors (KN and JY). The same two reviewers independently screened full texts of qualifying papers. Both reviewers resolved disagreements at all stages

→2人で審査、意見の相違は3人目のレビュアー。

 

●出版バイアス

Ovid MEDLINE, EMBASE, PubMed and the Cochrane Database of Systematic Reviews were searched from inception until May 2017 for RCTs

Publications not written in the English language were excluded.

The bibliographies of included papers and relevant systematic reviews were hand‐searched for additional papers. Experts and authors of papers identified in the search strategy were contacted for additional data as required.

 

→Ovid   MEDLINE   EMBASE   Pubmed   Cochraneから。2017年5月まで。

 英語のみ。追加データなどは問合せ。 

 

●元論文バイアス

RCTのみ。

11.14は単盲検

7.13.16は二重盲検

10.15はオープンラベル

12は不明

funnel plotはなし

 

●異質性バイアス(I2)

→結果を参照

  

【対象study】

f:id:pharmapon:20190219212837p:plain

 

 

【結果】

●(a)全死亡       (b)ICU患者を除いた全死亡

f:id:pharmapon:20190219212855p:plain

 

 ●入院期間

f:id:pharmapon:20190219212911p:plain

 

●体重減少

f:id:pharmapon:20190219212924p:plain

 

●(a) 24時間尿量      (b)バイアスの高い研究14を除いた24時間尿量       (c)72時間尿量

f:id:pharmapon:20190219212937p:plain

 

BNPの減少

f:id:pharmapon:20190219212952p:plain

2018 Feb;73(2):238-247から引用


【まとめ・感想】

心不全患者において全死亡は間欠投与がよさそうな傾向はあるものの有意差なし。

特に持続投与を支持する結果ではなさそう。

フロセミドは配合変化も多い印象なので持続よりも間欠投与のがよい?

手間的にはどちらが大変なのかはよくわからないが看護師的には持続のが楽なのかな?

この研究でも尿量やBNPの減少が死亡とはそれほど関係ないことが示唆されるか。

 

 

【メタ解析】フロセミドは持続投与したほうが良いですか?

2019.2.4修正加筆

 

フロセミドの持続投与と間欠投与を比較したメタ解析を読んでみる。

 

参考文献:Continuous Infusion versus Intermittent Bolus Injection of Furosemide in Critically Ill Patients : A Systematic Review and Meta-analysis

PMID:29454528

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研究デザイン:メタ解析

 

【論文の内容】

P:重症の肺水腫または末梢浮腫患者(16歳未満は除く)

I:フロセミド持続投与

C:フロセミド間欠投与

O:全死亡、入院期間 

 

※副次評価項目:最初の24時間の尿量、治療期間中の血清クレアチニン変化

 

・Primary Outcomeは明確になっているか   →  明確である

・真のアウトカムかどうか            →  真のアウトカムといえる

 

【メタ解析における4つのバイアス】

●評価者バイアス

Titles and abstracts were in dependently screened against eligibility criteria by 2authors(A.L.andA.V.).

The same 2 reviewers in dependently screened fulltexts of qualifying papers. Any disagreements at any stage were resolved bythe third reviewer(K.N.).

→2人で審査、意見の相違は3人目のレビュアー。

 

●出版バイアス

Ovid, MEDLINE,EMBASE,PubMed,and the Cochrane Database of Systematic Reviews were searched from their inception until June2017.

Publications not written in the English language were excluded.

The bibliographies of included papers and relevant systematic reviews were hand-searched for additional papers.

Experts and authors of papers identified in the search strategy

were contacted for additional data or missing data.

→Ovid MEDLINE EMBASE PubMed Cochraneから。2017年6月まで。

 英語のみ。追加データ、不足データは問合せ。 

 

 

●元論文バイアス

RCT、ケースコントロール研究、観察研究

コクランのバイアス評価ツール、Newcastle-Ottawa Scaleにてバイアスの評価がされてる。

Funnel plotsは使用されていない

 

●異質性バイアス(I2)

→結果を参照

 

 

【対象study】

f:id:pharmapon:20190202231828p:plain

以下加筆

RCTに関して対象患者群を見ると、

・心臓外科手術の患者

ICUまたはCCU入室中の肺水腫or体液過剰患者

・心原性肺水腫患者

・肺水腫または体液過剰でPaO2/FIO2 300未満

ICU入室中の体液過剰患者

・急性心不全患者

心不全、腎障害患者

 

【結果】

●全死亡

f:id:pharmapon:20190202231844p:plain

 

 ●入院期間

f:id:pharmapon:20190202231854p:plain

 

●24時間尿量

f:id:pharmapon:20190202231904p:plain

 

クレアチニン変化

f:id:pharmapon:20190202231917p:plain

2018 Oct;32(5):2303-2310.より引用


【まとめ・感想】

 尿量は持続投与が多いが、入院期間は間欠投与のが短く全死亡は変わらないという結果。全死亡は変わらないものの入院期間が短いほうが患者にとってのメリットは大きそう。尿量は代用アウトカム。

解析対象の試験も症例数が少なかったり単施設RCTだったりとそれほど信頼性が高そうなものではないように思うが、DOSE trial(PMID:21366472)や、他のメタアナリシス(PMID:28940440)などの結果を見てもおおむね一致した結果が得られていそう。

特に持続投与を支持する結果ではない印象。

 

以下加筆

D先生にご指摘いただき対象の違う研究が散見されるとのこと。

appendixが参照できないためどのような基準で選択されているのか詳細は不明だが、対象患者をもう少しそろえるとまた違った結果になる可能性があるのか。

ただ、PMID28940440では心不全患者のみを対象としており、そちらでも特に持続投与が支持される結果ではないように思われる。

このメタ解析のように持続のが尿量が得られることは実臨床でも経験するが、尿量upが予後改善には必ずしも結び付かないことはこのメタ解析からわかることの1つかも。

 

【RCT】PCI1年経過後の心房細動患者は抗凝固薬単剤でもよいですか?【OAC-ALONE】

ステント留置1年経過後で心房細動を合併している患者では現在抗血小板薬1剤+抗凝固薬で治療されていることが多いように感じるが、ESCやAHAでは1年経過後抗凝固単剤を推奨するような記載もあり、出血のリスクを考えればなるべく抗血栓薬の併用は避けたいところだと思われる。

 

An Open-Label Randomized Trial Comparing Oral Anticoagulation with and without Single Antiplatelet Therapy in Patients with Atrial Fibrillation and Stable Coronary Artery Disease Beyond One Year after Coronary Stent Implantation: The OAC-ALONE Study

PMID:30586700

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験) 非劣性試験 非劣性マージン1.5

論文の内容

P:20歳以上の心筋梗塞ステント留置後1年経過+心房細動合併

I:抗血小板薬+OAC

C:OAC(ワーファリンorDOAC)

O:全死亡、心筋梗塞脳卒中または全身性塞栓症の複合

 

※ワーファリンの目標INR70歳未満では2.0-3.0、70歳以上では 1.6-2.6。

 

除外基準:

12ヶ月以内のPCI歴、抗凝固薬の中止が予定されている、ステント血栓症の既往、冠血行再建予定患者、外科手術(心血管・非心血管)予定患者、12ヶ月以上の生命予後が見込めない患者

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカムといえる

・適切なランダム化がされているか   →されている?

・盲検化されているか         →オープンラベル     

・解析方法は              →mITT解析

・追跡率               →98.6%

・追跡期間                →2.5年(中央値)

・患者背景             →下記図を参照

・サンプルサイズ          →2000人

・スポンサー                →第一三共

・非劣性マージン          →1.5

 

【患者背景】

f:id:pharmapon:20190111200211p:plain

f:id:pharmapon:20190111200231p:plain

 

【結果】

f:id:pharmapon:20190111200240p:plain

f:id:pharmapon:20190111200257p:plain

 

【サブ解析・主要評価項目】

f:id:pharmapon:20190111200309p:plain

【サブ解析・副次評価項目】

f:id:pharmapon:20190111200328p:plain

 

【まとめ・感想】

主要評価項目は非劣性を示せず。出血を含めると非劣性。

症例数が圧倒的に足りないためなんともいえないが、OAC単独ではSAPT+OACに比べ血栓イベントは増える傾向だが出血は少ない傾向か。

AFIRE試験では併用群にて出血イベントが多く中止になったとのことで、OLTAT registry(PMID29776575)なども合わせて考えるとAF合併でPCI後1年経過した後は充分にOAC単剤でもいける可能性があると思われる。

血栓薬の併用はなるべく少なく、なるべく短期間にする流れは間違いなくあると思うので今後も新たなデータなどしっかり追っていきたいところ。

 

 

【RCT】タケキャブの効果はどうですか?【院内抄読会】

今年最後の薬剤部抄読会を行いました。

 

【仮想シナリオ】

あなたはとある病院の薬剤師さんです。

年末も近づき、木々は白く雪化粧をするようになりました。

 

寒さが厳しくなってきたある日、あなたは病棟で仕事をしているとDrから質問をうけました。

 

医師「薬剤師さん。ちょっと教えてほしいんだけど・・・タケキャブって実際今までのPPIと比べてどうなの?メーカーさんはいいことしか言わないからさ。今までのPPIより効果発現が早くて作用も強いですよって話はよく耳にするんだけど・・・」

 

タケキャブは既存のPPIより良い。と聞いていたあなたですが、自分でしっかり調べたことはありませんでした。

Drに少し時間をもらい、臨床試験の文献を読んでみることにしました。

 

参考文献:Randomised clinical trial: efficacy and safety of vonoprazan vs.lansoprazole in patients with gastric or duodenal ulcers – results from two phase 3, non-inferiority randomised controlled trials

PMID:27891632

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)非劣性試験(非劣性マージン:胃潰瘍8%、十二指腸潰瘍6%)

論文の内容

P:20歳以上の内視鏡的に確認された胃潰瘍または十二指腸潰瘍患者

I:vonoprazan20mg   6or8週(胃潰瘍8週 十二指腸潰瘍6週)

C:lansoprazole30mg  6or8週(胃潰瘍8週 十二指腸潰瘍6週)

O:内視鏡的な胃潰瘍または十二指腸潰瘍の治癒

 

除外基準:84日以内のvonoprazan投与歴、潰瘍治療を7日以内に受けた患者、過去5年以内の悪性腫瘍患者、ゾリンジャーエリソン症候群、肝機能異常 等

 

副次評価項目:2週、4週時点の治癒割合、自覚症状、

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカムとしてよいだろう

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →されている

・解析方法は              →FAS PPS SAS

・追跡率               →おおむね両群95%程度

・追跡期間                →6-8週

・サンプルサイズ          →胃潰瘍215人、十二指腸潰瘍175人  

・スポンサー                →武田薬品

 

 【患者背景】

 f:id:pharmapon:20181215080337p:plain

 

【結果】

f:id:pharmapon:20181215080534p:plain

【サブ解析】

f:id:pharmapon:20181215080639p:plain

 

【自覚症状】

f:id:pharmapon:20181215080550p:plain

 

【副作用】

f:id:pharmapon:20181215080602p:plain

  

【まとめ・感想】

胃潰瘍は非劣性。十二指腸潰瘍についてはボノプラザンはランソプラゾールに対して非劣性を証明できなかった。

一般的にボノプラザンはCYPの影響を受けない、効果発現が早い、胃酸分泌抑制効果が協力等で宣伝されていることが多いと思われるが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療という点においてはCYP遺伝子多型がある患者においても(Table3)ランソプラゾールで十分治癒できると思われる。

ただ、胃潰瘍治療に関しては自覚症状改善の割合はボノプラザンのがよさそうにも見受けられるし、PMID12656699ではランソプラゾールはCYP2C19の遺伝子多型によって効果が変わることが示唆されるデータもある。ピロリ菌の除菌についてはボノプラザン使用のが優れていることが他の文献からは示されており、NSAID併用時の潰瘍予防(PMID29196436)やGERD(PMID26559637)などの結果も確認しながらしっかりと適応、適した症例を見極めて使用していくことが必要だろう。

コストや未知の副作用なども考えれば、現状わかっているデータからは既存PPIから全例ボノプラザンに切り替えるほどのインパクトはないのではないか。

 

【参加者の感想】

・1stで積極的に使用するような成績ではなさそうですね。

・そもそも胃潰瘍、十二指腸潰瘍に対するランソプラゾールの効果もどれくらいなのかあいまいだった。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍にはランソプラゾールで十分そうですね。

・とりあえずピロリ菌除菌が主な戦場ですか?

・自覚症状が強そうな症例では選択肢になるのかも?

  

 

【RCT】高齢者に対するエゼチミブ(ゼチーア®)は有効ですか?【EWTOPIA75】

日経DIにEWTOPIA試験の結果が結構良かった。との記事が載っていて、IMPROVE-IT試験(PMID:26039521)とかの結果を見れば「そんないいはずないのでは?」と思ったので、まだpublishされていないと思うがわかっていることから少し調べてみた。

 

Ezetimibe in Prevention of Cerebro- and Cardiovascular Events in Middle- to High-Risk, Elderly (75 Years Old or Over) Patients With Elevated LDL-Cholesterol

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)

論文の内容

P:75歳以上でLDL-C≧140mg/dlで下記※のうち1つ以上満たす患者

I:エゼチミブ10㎎/d+食事療法

C:食事療法

O:心臓突然死、心筋梗塞、血行再建術(PCIorCABG)、脳卒中の複合

 

※高血圧、糖尿病、低HDL-C、高TG、喫煙、脳梗塞の既往、PAD

 

除外基準:空腹時TG400 mg/dL以上、心筋梗塞の既往、冠血行再建術(PCIorCABG)の既往、治療を必要とする狭心症脳卒中発症後6ヶ月未満、重度の肝障害、重度の腎障害、悪性腫瘍、認知症、FH、Af、過敏症、他の治験に参加中

 

副次評価項目 各種心血管イベント、各種脳血管イベント、死亡、入院、悪性腫瘍、認知症発症、大腿骨頸部骨折、ADL、施設入所、経済効果

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカムといえる

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →PROBE法     

・解析方法は              →不明

・追跡率               →不明

・追跡期間                →最低3年(詳細は不明)

・患者背景             →下記図を参照

・サンプルサイズ          →6000例   

・スポンサー                →なし

【患者背景】

 

ezetimibe(n=1716)

control(n=1695)

age

80.6±4.7

80.6±4.7

male

440(25.6%)

432(19.2%)

BMI

23.6±3.5

23.5±3.7

LDL(mg/dl)

161.9±20.1

161.3±19.4

SBP(mmHg)

137.0±15.8

135.8±15.9

DM

433(25.2%)

434(25.6%)

 

 

【結果】

 

HR

95%CI

P-value

複合脳心血管イベント (Primary)

0.659

0.504-0.862

0.002

複合心イベント

0.602

0.370-0.979

0.041

全死亡

1.087

0.885-1.337

0.427

脳卒中

0.781

0.549-1.112

0.171

 

【まとめ・感想】

あくまで拾えた情報のみでの感想。

Primary endpointは有意に減少だが全死亡や脳卒中は有意な減少なく、PROBE法+ソフトエンドポイント(血行再建)というところがかなり結果に影響しているのではなかろうか。といった印象。プラセボさえ投与されていない。

日本でのRCTは症例数を集めるのが大変そう。

とりあえず高齢者にいきなりエゼチミブという提案は自分はしないかな。するにしてもやはり第一選択はスタチンでは?

心房細動に対するアブレーションについて

最近いろいろあって全く文献が読めず更新できていないので11月9-11日に参加したアブレーション関連大会で発表した件について記事にしてみる。

 

【アブレーション周術期の鎮静・鎮痛管理について】

アブレーション(肺静脈隔離術)周術期の鎮静・鎮痛管理においては特に確立された方法はなく、各施設で異なる薬剤が使用されている。

自分の知る限りでは

プロポフォール、プレセデックス、フェンタニル、レペタン、ソセゴン、イソゾールなどから2種、3種を選択して使用することが多く、プレセデックス+プロポフォールもしくはプレセデックス+フェンタニルあたりが多いように感じる。

 

当院ではもともとプロポフォール+プレセデックス+イソゾールで行っていたが、高BMI患者やSASのある患者で難渋することが多かったためレペタン+プレセデックス+イソゾールへ変更した。

レペタン群ではおおむねプロポフォール群にくらべ主治医の感触もよく、鎮静深度なども良好な値が得られていたが術後の嘔吐が多く、プリンぺランの予防投与も効果が薄かった。

その後フェンタニル+プレセデックス+イソゾールでの管理へ変更したところ術後の嘔吐は少なくなり、主治医の感触もレペタン使用時に比べて良好である。

 

以下当院での具体的な投与方法について紹介する。

 

イソゾール2ml程度をフラッシュし、フェンタニル10A+生食30mlとプレセデックス200ug/50mlをそれぞれ3-10ml/hr(主治医判断により患者の体格によって決定)の速度で開始(術中の鎮静具合をみて適時調節)。

体動時にはイソゾール2ml程度を追加もしくはフェンタニル早送り。

焼灼開始時にはフェンタニル早送り

 

【アブレーションと心不全、抗不整脈薬、抗凝固薬について】

CASTLE AF、CABANAtrial、KPAFregistry、J-CARAFなど、近年アブレーションによる心不全患者の予後改善データなどが蓄積してきて、適応となるならば積極的にアブレーションをすることでのメリットが大きいのでは。と言われてきた。

アブレーションによって抗凝固薬や抗不整脈薬も中止できる可能性があり患者のQOLに対してもメリットは少なくない。

最近ではアブレーションにより洞調律を維持できることで腎機能維持にもつながることが示唆されるようなデータもある。

種々の文献からはアブレーションによっておおよそ5年で6割ほどの患者は抗凝固療法を中止できており出血のリスクが下がることは大きなメリットである。

周術期にOACを継続するかどうかについてはワーファリンではCOMPAREstudyにて継続が望ましいことが示されていたが、近年DOACでもデータが集まりつつある。

プラザキサのRE-CIRCUIT試験では内服継続が望ましいことが示されているし、VENTURE-AF試験、AXAFA-AFNET5試験でもそれぞれイグザレルトとエリキュースで継続が望ましいことが示唆されている。

しかしJACRE-R registryではイグザレルトにおいてワンスキップ法で問題ないことも示唆されている。

これらの試験結果を踏まえたESCのExpert consensusではワーファリン、プラザキサは内服継続がクラスⅠ、その他のDOACでは継続下がクラスⅡa、ワンスキップ法もクラスⅡaとすべてのDOACで継続がクラスⅠではないことに注意が必要である。

 

当院ではワーファリン以外はワンスキップ法にて周術期のDOAC休薬を管理しているが今まで脳梗塞を起こした患者はいない。継続下で、もし心タンポナーデなどの合併症が起こった場合ワンスキップ法に比べて重篤となることが予想される。

継続下でのデータが蓄積されてきている現状を踏まえ、主治医と今後のDOAC周術期の休薬をどうするか協議していくべきかと考える。

Xa阻害剤の中和剤が発売されたら継続でどうかと協議してみてもよいかと思っている。

  

アブレーション術後3ヵ月はbranking periodと言われ、再発リスクが高いため抗不整脈薬の使用が推奨される。

使用する薬剤はⅠ群の抗不整脈薬が多く、高リスク患者ではベプリコールを使用することが多い。

アミオダロンの有効性を示す報告はAMIO-CAT試験があるが、ベプリコールの有効性を示す報告も存在する。(PMID:26654806)

ただ、ベプリコール使用によってQTが延長し、増量するとその傾向は顕著である。中にはベプリコールによってTdpが誘発された症例もあったため、ベプリコール使用でも洞調律維持が困難でQTが延長が有意な場合アミオダロンを推奨する選択あるだろう。

 

 

 

【RCT】低用量アスピリン使用時のボノプラザン(タケキャブ)の効果はどうですか?

【背景】

最近やっとボノプラザンが採用となり、かなりの量が使用されるようになっている。

なかにはPPIをすべて切り替えているDrもいるので復習。

 

参考文献:Vonoprazan prevents low-dose aspirin-associated ulcer recurrence: randomised phase 3 study.

PMID:29196436

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29196436

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)非劣性試験 非劣性マージン8.7%

論文の内容

P:消化性潰瘍既往で、低用量アスピリン継続が必要な患者(621人)

I:ボノプラザン10㎎

I:ボノプラザン20㎎

C:ランソプラゾール15㎎

O:消化性潰瘍の再発(24週)

 

※除外基準:

アスピリン喘息の既往

胃酸分泌に影響を与える手術の予定または既往

Zollinger-Ellison症候群または他の胃酸過剰分泌障害

腎障害、肝障害、5年以内の悪性腫瘍既往

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか       →真のアウトカムでよさそう

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →二重盲検されている      

・解析方法は              →FAS解析

・追跡率               →92%くらい

・追跡期間               →24週

・患者背景             →下記図を参照   

  

【患者背景】f:id:pharmapon:20181102153651p:plain

2018 Jun;67(6):1033-1041.より引用

 

【結果】

 24週

ランソプラゾール15㎎

ボノプラザン10㎎

ボノプラザン20㎎

消化性潰瘍再発率

2.8%

0.5%

1.5%

胃・十二指腸の出血

2.9%

0%

0%

重篤な副作用

1.4%

2%

2%

ランソプラゾール ボノプラザン10㎎(95% CI −4.743 to 0.124)

ランソプラゾール ボノプラザン20㎎( 95% CI −4.095 to 1.523)

 

f:id:pharmapon:20181102153715p:plain

2018 Jun;67(6):1033-1041.より引用

 

 【有害事象】f:id:pharmapon:20181102153732p:plain

2018 Jun;67(6):1033-1041.より引用

 

【まとめ・感想】

 24週のフォローではボノプラザンでランソプラゾールより再発が少ない傾向はあるもののランソプラゾールと非劣性。

その後の2年間のフォローではボノプラザンのがよさそうな結果。

確かにピロリ菌除菌時はボノプラザンはよさそうな印象だが、他の臨床試験の(PMID:27891632)結果などをみても既存PPIに対して圧倒的な結果などは出せていないし、個人的には全例既存PPIから切り替えるほどではない気がする。

コストや未知の副作用を考えると既存PPI使用下でも再発があった場合に考慮するくらいかなぁという印象。

ただ、たまにPPIからボノプラザンに変えると胸焼け症状がかなり良くなった!という患者さんも経験する。

 

感染症プラチナマニュアル 2018
by カエレバ