病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

【RCT】SGLT2阻害薬に腎保護作用はありますか?【CREDENCE】

SGLT2阻害薬の腎保護効果を検証したCREDENCE試験の結果が出たので読んでみる。

 

参考文献

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1811744?query=featured_home

 

プロトコール

https://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa1811744/suppl_file/nejmoa1811744_protocol.pdf

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験) 

論文の内容

P:30歳以上、eGFR30-90ml/min/1.73m2でRAS阻害剤を服用中のT2DM(HbA1c6.5-12.0%)かつ顕性蛋白尿(尿中アルブミン/クレアチニン比300~5000 mg/gCr)の患者

I:カナグリフロジン100㎎

C:プラセボ

O: 透析・腎移植・eGFR15ml/min/1.73m2以下への移行、SCrの倍増、腎もしくは心血管イベントによる死亡の複合

 

除外基準:非糖尿病性腎疾患、T1DMが疑われる患者、腎疾患に対する免疫抑制療法を受けた患者、透析歴または腎移植歴のある患者

 

副次的評価項目: 心血管死・心不全脳卒中心筋梗塞・末期腎不全・SCrの倍増・腎臓死などなど

 

【確認ポイント】 

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカム

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →されている   

・解析方法は              →ITT

・追跡率               →約99%?

・追跡期間                →2.62年(中央値)

・サンプルサイズ          →約4200人

・スポンサー                →ヤンセン

 

【患者背景】 Table1・TableS1・S2を参照 両群間に差はなさそう

年齢:63歳くらい

男性:65%程度

白人:65%程度

喫煙者:14%程度

高血圧:97%程度

心不全:15%程度

DM期間:16年程度

心血管疾患:50%程度

HbA1c:8.3%程度

eGFR(ml/min/1.73m2):56程度

尿中アルブミン/クレアチニン比:930mg/gCr程度

 

【結果】

●Primary endpoint  Figure1-3 Table2 FigureS3を参照

 

canagliflozin

placebo

HR(95% CI)

P-value

Primary composite outcome

245/2202

340/2199

0.70(0.59-0.82)

0.00001

doubling of serum creatinine level

118/2202

188/2199

0.60(0.48-0.76)

<0.001

End-stage kidney disease

116/2202

165/2199

0.68(0.54-0.86)

0.002

Cardiovascular death

110/2202

140/2199

0.78(0.61-1.00)

0.05

 

●サブ解析 Figure1-3 FigureS3を参照

Primary composite outcome

canagliflozin

placebo

HR(95% CI)

eGFR30-45ml/min/1.73m2

119/657

153/656

0.75(0.59-0.95)

eGFR45-60ml/min/1.73m2

56/640

102/639

0.52(0.38-0.72)

eGFR60-90ml/min/1.73m2

70/905

85/904

0.82(0.6-1.12)

baseline UACR

     

≦1000

69/1185

88/1163

0.76(0.55-1.04)

>1000

176/1017

252/1036

0.67(0.55-0.81)

 

●副作用 TableS4を参照

  

【まとめ・感想】

SGLT2阻害薬で腎イベントは減少するという結果。

Figure3からは開始初期にeGFRは低下するが継続により腎保護的に働くことが見える。

透析移行や腎関連死も減らしておりNNTも25-45程度と結構いい結果に個人的には見えたのだがどうだろう。

RAS阻害薬を服用していない患者ではどうなのか。アルブミン尿がない患者ではどうなのかなども気になるところ。

もう少し長くフォローするとまた結果も変わってくるのか?

CKDstage3aあたりが一番効果を得られるのだろうか?

副作用は明らかにSGLT2でケトアシドーシスと尿路感染は増えていそうだがその他の項目はあまり変わらないように見える。ただアンプタは有意差ないものの増える傾向でやはり注意しておいたほうがよいのかもしれない。

腎専門の先生の解釈をうかがってみたいところ。

【RCT】EPAの効果はどうですか?【JELIS・REDUCE-IT】【院内抄読会】

2019年度はじめの院内抄読会を行いました。

JELIS、REDUCE-ITと今更感のある論文ですがいろんな解釈をみんなでディスカッションするには良いのかなと思い選択しています。

 

【仮想症例シナリオ】

あなたはとある病院の薬剤師さんです。

4月になり山が桜色に化粧をするようになりました。

 

休日、あなたはたまたま近所のドラッグストアでお買い物をしていると、知り合いのおじさんに出会い質問を受けました。

 

おじさん「おぉぉ、ちょっと見ないうちに大きくなったなぁ! あ、そういえば今は病院で薬剤師やってるんだって? なぁなぁちょっと教えてくれよ。なんか最近テレビで見たんだけど、EPAっていう魚の脂が健康にいいんだろ?心臓とか脳にも良いって言ってたよ。中性脂肪も下げるって。

サプリメントにも入っているし、市販薬でも買えるって聞いて来たんだよ。自分は過去に心臓の治療もしてるから買おうかと思って。実際のところ薬剤師的にどうなんだ?」

 

エパデールやロトリガなど、よく処方される機会を見たことがあったあなたでしたが、具体的にどれくらいの効果が期待できるのかはよく知りませんでした。

服用希望もありそうなのでオススメしようとは思ったものの、おじさんは心臓の治療後ということもあり一度Drに相談してからにするようお話しし、後で効果を調べることにしました。

 

すると2つのRCTを見つけることができたため読んでみることにしました。

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【JELIS】の記事はこちら

https://blog.hatena.ne.jp/pharmapon/pharmapon.hatenablog.com/edit?entry=10257846132607301672

 

【REDUCE-IT】 PMID:30415628

研究デザイン:RCT

P:心血管イベントの既往歴がある45歳以上の患者

  もしくは、50歳以上のDMで心血管イベントハイリスクである患者

  空腹時TG:150~499mg/dL 

I:EPA 2g*2/日 

C:ミネラルオイルプラセボ

O: 心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、 冠動脈再建術、不安定狭心症の複合

  

※除外基準:重症心不全、予後2年以内が見込まれる疾患、肝障害、HbA1c10%以上、コントロール不良の高血圧、急性または慢性膵炎、PCIなどの予定、スタチン不耐などなど

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカム

・適切なランダム化がされているか  →層別でランダム化されている

・盲検化されているか         →されている   

・解析方法は              →ITT解析

・追跡率               →93%程度

・追跡期間                →約5年(中央値4.9年)

・サンプルサイズ          →約8000人

・スポンサー                →Amarin社

 

【患者背景】

年齢64歳(中央値)

女性28.8%

白人約90%

一次予防:約30%

二次予防:約70%

BMI30.8 kg/m²(中央値)
登録時のLDL-C 75.0 mg/dL(中央値)

HDL-C40.0 mg/dL(中央値)

TG216.0 mg/dL(中央値)

登録時のエゼチミブ使用:6.4%
登録時の糖尿病:2型糖尿病 約58%,1型糖尿病 0.7%
参加地域:北米,カナダ,オランダ,オーストラリア,ニュージーランド南アフリカ(約71%),東欧(約26%),アジア太平洋(3.2%)

 

【結果】

f:id:pharmapon:20190402224528p:plain

https://www.vascepahcp.com/safety-and-dosing/vascepa-safety/より引用

 

【まとめ・感想】

 JELISで見られたような試験デザインの問題もなく、すさまじい結果が得られている。

普段からEPAの摂取が少ないといわれている欧米の人にとってはかなりのメリットが得られる可能性があるのかも。

ただEPAの摂取量としては4g/日とかなり大量で本邦では保険診療上使用は難しい。

また、TGに関しては開始後4か月で有意に低下しているものの、真のアウトカムで効果が出始めているのは服用後2年程度経過したくらいからに見えるので短期的な内服では効果が得られにくいことがわかるかもしれない。

あくまで追跡期間は5年程度だが徐々に差は広がる傾向にあるので予後が期待でき長期内服する患者では利益がある可能性はある。

Appendixに副作用も載っているが、4g飲んでも重篤な副作用が増えそうな傾向はあまりない。心房細動が有意に増えているが理由は不明。それほど気にしなくてもよい?

 

ちなみに日本循環器学会ガイドライン http://www.j-circ.or.jp/guideline/index.htm

最近更新されたの急性冠症候群ガイドライン2018では二次予防でクラスⅡb

少し古い心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改訂版)ではクラスⅠで考慮

となっている。

 

コクランでは効果ないorあってもわずか。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30521670

 

EMAからも否定的なコメント。

https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/referrals/omega-3-fatty-acid-medicines

 

【抄読会で出た意見】

・比較的若年でEPAの摂取が少なく、長期的に忘れずに服用できる患者において若干の利益が得られる可能性はあるが強く推奨するものではないのでは。

・含有量の多くないサプリメントを少し摂取する程度ではおそらく効果は得られない。

・日本人では効果薄そう。効果あるとしてもあまり期待せずに。

・二次予防で予後が長い人なら飲んでもよいかも?

・害はあんまりなさそうで効果が期待できる可能性もあるから本人の希望が強ければ内服してもらうのもありかも。ただこちらから積極的に推奨するものではなさそう。

・エパデールTは買うのが大変。高いし。

 

_人人人人人人人人人人人人_
> おいしいお魚食べたい <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

次の抄読会のネタも考えねば。。。。。

【RCT】フェブキソスタットで脳心腎イベントは減りますか?【FREED】

フェブキソスタットの脳心腎イベントが減るかどうかを日本人対象で行ったFREEDの論文が出たので読んでみる

 

参考文献:Febuxostat for Cerebral and CaRdiorenovascular Events PrEvEntion StuDy

https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz119/5371086

 

下記文献でも試験概要など書いてある

https://www.clinicalkey.jp/#!/content/playContent/1-s2.0-S0914508716000629?returnurl=https:%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0914508716000629%3Fshowall%3Dtrue&referrer=https:%2F%2Fwww.ncbi.nlm.nih.gov%2Fpubmed%2F27005768

PMID: 27005768

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験) 

論文の内容

P: 脳心血管疾患リスクをもつ血清尿酸値7.0-9.0mg/dLで65歳以上の外来患者

I:フェブキスタット

C:尿酸値の上昇があればアロプリノール100㎎

O:脳血管障害、心腎血管障害による死亡、脳血管疾患、非致死的心疾患、心不全による入院、動脈硬化性疾患(大動脈瘤、解離、閉塞性動脈硬化)、腎障害(微量アルブミン尿、顕性タンパク尿、SCrの倍増、タンパク尿の悪化)、心房細動の複合

 

副次的評価項目:脳血管障害、心血管障害、腎血管障害、血清尿酸値による脳血管障害、心血管障害、腎血管障害、脳血管障害、心血管障害の病歴の各要素。

血清尿酸、eGFR、尿中ミクロアルブミン/クレアチニン比、尿中タンパク質量、血圧の絶対値と変化

 

※フェブリクは10㎎から開始、4週後に20㎎、8週目に40㎎

※非フェブリク群は尿酸値上昇したらアロプリノール100㎎

※尿酸値2以下にはしないよう調整

 

【組入基準】

・65歳以上の外来患者

・血清尿酸値7.0-9.0mg/dL

・脳心血管疾患リスクがある患者(高血圧、T2DM、腎障害eGFR:30-60mL/min/1.73m2、3か月以上前の脳循環器疾患)

 

【除外基準】

・活動性の痛風患者または1年以内の痛風関節炎患者

・フェブキソスタットorアロプリノール過敏症

・悪性腫瘍患者

ネフローゼ、透析、移植腎、eGFR30mL/min/1.73m2以下

・3か月以内の急性冠症候群、脳卒中

・3か月以内にSCrが50%以上増加している患者

・3か月以内の重症高血圧患者(180-110)

・肝障害(AST,ALTが施設基準2倍以上)

・6MP、アザチオプリン、ビダラビン、ジダノシン使用患者

・1か月以内に尿酸降下薬を使用した患者

・1か月以内に次記の薬の開始、変更(ロサルタン、イルベサルタン、フェノフィブラート、チアジド、ループ)

・ホルモン補充療法のためにエストロゲン製剤を投与されている患者

  

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →おおむね真のアウトカムといってよさそう

                   比較的ソフトなエンドポイントもあり。

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →オープンラベル (PROBE法)    

・解析方法は              →ITT  PPS

・追跡率               →約83%

・追跡期間                →約35か月(中央値)

・患者背景             →下記図を参照

・サンプルサイズ          →1000人 各グループ500人

・スポンサー                →帝人ファーマ

 

【患者背景】

Table1参照してください

 

【結果】

Table2参照、TableS5、TableS6など参照

 

【まとめ・感想】

PROBE法でソフトエンドポイントも含まれており、そもそも複合するエンドポイントも数がかなり多い。尿酸値も有意に差がついているのでフェブキソスタットによる効果なのか尿酸値が低いことによる効果なのかの見分けがつかない。少しデザインに問題がありそう。

主要評価項目で有意差は出ているものの腎障害によるものが大きく、脳心血管イベントなどは差がない。腎障害によるものもTableS6をみるとアルブミン尿のみの差のよう。

eGFRでは差はついておらず、FigureS5からも特に差はない。

そもそも相手は7割無治療。(3割くらいはアロプリノール投与されてる)

 

やはり尿酸値をしっかり下げたほうがよいかどうかは不明。この試験を見るに積極的に下げる必要性は薄いように思われる。

FEATHER Studyでも結果はnegative。尿酸低下療法にもし効果があったとしても限られた患者層、もしくは単一介入では効果が見られないほど小さな影響か。

ただ、入院中だと尿酸値10を超える患者もザラにいるので、そのような患者と下げた方が良い可能性はあるかも?

 

一応uptodateによると尿酸値を下げることによる腎保護は観察研究などで示唆されているものの明確に下げたほうがよい。と結論するようなデータはないとのこと。

無症候性の高尿酸血症を治療することを強く推奨はしていない。

 

アルブミン尿が改善することでかなり長期的(10年、20年とか)に服用した場合に影響が出てくる可能性はあるのかな?よくわからない。

 

 

 

【メタ解析】フロセミドは持続投与したほうがよいですか? その2

今度は心不全患者を対象としたフロセミドの持続投与と間欠投与を比較したメタ解析を読んでみる。

 

参考文献:Continuous infusion vs. intermittent bolus injection of furosemide in acute decompensated heart failure: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials.

 

PMID:28940440

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研究デザイン:メタ解析

 

【論文の内容】

P:急性非代償性心不全患者(先天性心疾患、弁膜症、16歳未満、心臓OPE後は除外)

I:フロセミド持続投与

C:フロセミド間欠投与

O:全死亡、入院期間 

 

※副次評価項目:血清クレアチニン変化、体重変化、低K血症、BNP、24・72時間尿量

 

・Primary Outcomeは明確になっているか   →  明確である

・真のアウトカムかどうか            →  真のアウトカムといえる

 

【メタ解析における4つのバイアス】

●評価者バイアス

Titles and abstracts were independently screened against eligibility criteria by two authors (KN and JY). The same two reviewers independently screened full texts of qualifying papers. Both reviewers resolved disagreements at all stages

→2人で審査、意見の相違は3人目のレビュアー。

 

●出版バイアス

Ovid MEDLINE, EMBASE, PubMed and the Cochrane Database of Systematic Reviews were searched from inception until May 2017 for RCTs

Publications not written in the English language were excluded.

The bibliographies of included papers and relevant systematic reviews were hand‐searched for additional papers. Experts and authors of papers identified in the search strategy were contacted for additional data as required.

 

→Ovid   MEDLINE   EMBASE   Pubmed   Cochraneから。2017年5月まで。

 英語のみ。追加データなどは問合せ。 

 

●元論文バイアス

RCTのみ。

11.14は単盲検

7.13.16は二重盲検

10.15はオープンラベル

12は不明

funnel plotはなし

 

●異質性バイアス(I2)

→結果を参照

  

【対象study】

f:id:pharmapon:20190219212837p:plain

 

 

【結果】

●(a)全死亡       (b)ICU患者を除いた全死亡

f:id:pharmapon:20190219212855p:plain

 

 ●入院期間

f:id:pharmapon:20190219212911p:plain

 

●体重減少

f:id:pharmapon:20190219212924p:plain

 

●(a) 24時間尿量      (b)バイアスの高い研究14を除いた24時間尿量       (c)72時間尿量

f:id:pharmapon:20190219212937p:plain

 

BNPの減少

f:id:pharmapon:20190219212952p:plain

2018 Feb;73(2):238-247から引用


【まとめ・感想】

心不全患者において全死亡は間欠投与がよさそうな傾向はあるものの有意差なし。

特に持続投与を支持する結果ではなさそう。

フロセミドは配合変化も多い印象なので持続よりも間欠投与のがよい?

手間的にはどちらが大変なのかはよくわからないが看護師的には持続のが楽なのかな?

この研究でも尿量やBNPの減少が死亡とはそれほど関係ないことが示唆されるか。

 

 

【メタ解析】フロセミドは持続投与したほうが良いですか?

2019.2.4修正加筆

 

フロセミドの持続投与と間欠投与を比較したメタ解析を読んでみる。

 

参考文献:Continuous Infusion versus Intermittent Bolus Injection of Furosemide in Critically Ill Patients : A Systematic Review and Meta-analysis

PMID:29454528

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研究デザイン:メタ解析

 

【論文の内容】

P:重症の肺水腫または末梢浮腫患者(16歳未満は除く)

I:フロセミド持続投与

C:フロセミド間欠投与

O:全死亡、入院期間 

 

※副次評価項目:最初の24時間の尿量、治療期間中の血清クレアチニン変化

 

・Primary Outcomeは明確になっているか   →  明確である

・真のアウトカムかどうか            →  真のアウトカムといえる

 

【メタ解析における4つのバイアス】

●評価者バイアス

Titles and abstracts were in dependently screened against eligibility criteria by 2authors(A.L.andA.V.).

The same 2 reviewers in dependently screened fulltexts of qualifying papers. Any disagreements at any stage were resolved bythe third reviewer(K.N.).

→2人で審査、意見の相違は3人目のレビュアー。

 

●出版バイアス

Ovid, MEDLINE,EMBASE,PubMed,and the Cochrane Database of Systematic Reviews were searched from their inception until June2017.

Publications not written in the English language were excluded.

The bibliographies of included papers and relevant systematic reviews were hand-searched for additional papers.

Experts and authors of papers identified in the search strategy

were contacted for additional data or missing data.

→Ovid MEDLINE EMBASE PubMed Cochraneから。2017年6月まで。

 英語のみ。追加データ、不足データは問合せ。 

 

 

●元論文バイアス

RCT、ケースコントロール研究、観察研究

コクランのバイアス評価ツール、Newcastle-Ottawa Scaleにてバイアスの評価がされてる。

Funnel plotsは使用されていない

 

●異質性バイアス(I2)

→結果を参照

 

 

【対象study】

f:id:pharmapon:20190202231828p:plain

以下加筆

RCTに関して対象患者群を見ると、

・心臓外科手術の患者

ICUまたはCCU入室中の肺水腫or体液過剰患者

・心原性肺水腫患者

・肺水腫または体液過剰でPaO2/FIO2 300未満

ICU入室中の体液過剰患者

・急性心不全患者

心不全、腎障害患者

 

【結果】

●全死亡

f:id:pharmapon:20190202231844p:plain

 

 ●入院期間

f:id:pharmapon:20190202231854p:plain

 

●24時間尿量

f:id:pharmapon:20190202231904p:plain

 

クレアチニン変化

f:id:pharmapon:20190202231917p:plain

2018 Oct;32(5):2303-2310.より引用


【まとめ・感想】

 尿量は持続投与が多いが、入院期間は間欠投与のが短く全死亡は変わらないという結果。全死亡は変わらないものの入院期間が短いほうが患者にとってのメリットは大きそう。尿量は代用アウトカム。

解析対象の試験も症例数が少なかったり単施設RCTだったりとそれほど信頼性が高そうなものではないように思うが、DOSE trial(PMID:21366472)や、他のメタアナリシス(PMID:28940440)などの結果を見てもおおむね一致した結果が得られていそう。

特に持続投与を支持する結果ではない印象。

 

以下加筆

D先生にご指摘いただき対象の違う研究が散見されるとのこと。

appendixが参照できないためどのような基準で選択されているのか詳細は不明だが、対象患者をもう少しそろえるとまた違った結果になる可能性があるのか。

ただ、PMID28940440では心不全患者のみを対象としており、そちらでも特に持続投与が支持される結果ではないように思われる。

このメタ解析のように持続のが尿量が得られることは実臨床でも経験するが、尿量upが予後改善には必ずしも結び付かないことはこのメタ解析からわかることの1つかも。

 

【RCT】PCI1年経過後の心房細動患者は抗凝固薬単剤でもよいですか?【OAC-ALONE】

ステント留置1年経過後で心房細動を合併している患者では現在抗血小板薬1剤+抗凝固薬で治療されていることが多いように感じるが、ESCやAHAでは1年経過後抗凝固単剤を推奨するような記載もあり、出血のリスクを考えればなるべく抗血栓薬の併用は避けたいところだと思われる。

 

An Open-Label Randomized Trial Comparing Oral Anticoagulation with and without Single Antiplatelet Therapy in Patients with Atrial Fibrillation and Stable Coronary Artery Disease Beyond One Year after Coronary Stent Implantation: The OAC-ALONE Study

PMID:30586700

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験) 非劣性試験 非劣性マージン1.5

論文の内容

P:20歳以上の心筋梗塞ステント留置後1年経過+心房細動合併

I:抗血小板薬+OAC

C:OAC(ワーファリンorDOAC)

O:全死亡、心筋梗塞脳卒中または全身性塞栓症の複合

 

※ワーファリンの目標INR70歳未満では2.0-3.0、70歳以上では 1.6-2.6。

 

除外基準:

12ヶ月以内のPCI歴、抗凝固薬の中止が予定されている、ステント血栓症の既往、冠血行再建予定患者、外科手術(心血管・非心血管)予定患者、12ヶ月以上の生命予後が見込めない患者

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカムといえる

・適切なランダム化がされているか   →されている?

・盲検化されているか         →オープンラベル     

・解析方法は              →mITT解析

・追跡率               →98.6%

・追跡期間                →2.5年(中央値)

・患者背景             →下記図を参照

・サンプルサイズ          →2000人

・スポンサー                →第一三共

・非劣性マージン          →1.5

 

【患者背景】

f:id:pharmapon:20190111200211p:plain

f:id:pharmapon:20190111200231p:plain

 

【結果】

f:id:pharmapon:20190111200240p:plain

f:id:pharmapon:20190111200257p:plain

 

【サブ解析・主要評価項目】

f:id:pharmapon:20190111200309p:plain

【サブ解析・副次評価項目】

f:id:pharmapon:20190111200328p:plain

 

【まとめ・感想】

主要評価項目は非劣性を示せず。出血を含めると非劣性。

症例数が圧倒的に足りないためなんともいえないが、OAC単独ではSAPT+OACに比べ血栓イベントは増える傾向だが出血は少ない傾向か。

AFIRE試験では併用群にて出血イベントが多く中止になったとのことで、OLTAT registry(PMID29776575)なども合わせて考えるとAF合併でPCI後1年経過した後は充分にOAC単剤でもいける可能性があると思われる。

血栓薬の併用はなるべく少なく、なるべく短期間にする流れは間違いなくあると思うので今後も新たなデータなどしっかり追っていきたいところ。

 

 

【RCT】タケキャブの効果はどうですか?【院内抄読会】

今年最後の薬剤部抄読会を行いました。

 

【仮想シナリオ】

あなたはとある病院の薬剤師さんです。

年末も近づき、木々は白く雪化粧をするようになりました。

 

寒さが厳しくなってきたある日、あなたは病棟で仕事をしているとDrから質問をうけました。

 

医師「薬剤師さん。ちょっと教えてほしいんだけど・・・タケキャブって実際今までのPPIと比べてどうなの?メーカーさんはいいことしか言わないからさ。今までのPPIより効果発現が早くて作用も強いですよって話はよく耳にするんだけど・・・」

 

タケキャブは既存のPPIより良い。と聞いていたあなたですが、自分でしっかり調べたことはありませんでした。

Drに少し時間をもらい、臨床試験の文献を読んでみることにしました。

 

参考文献:Randomised clinical trial: efficacy and safety of vonoprazan vs.lansoprazole in patients with gastric or duodenal ulcers – results from two phase 3, non-inferiority randomised controlled trials

PMID:27891632

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)非劣性試験(非劣性マージン:胃潰瘍8%、十二指腸潰瘍6%)

論文の内容

P:20歳以上の内視鏡的に確認された胃潰瘍または十二指腸潰瘍患者

I:vonoprazan20mg   6or8週(胃潰瘍8週 十二指腸潰瘍6週)

C:lansoprazole30mg  6or8週(胃潰瘍8週 十二指腸潰瘍6週)

O:内視鏡的な胃潰瘍または十二指腸潰瘍の治癒

 

除外基準:84日以内のvonoprazan投与歴、潰瘍治療を7日以内に受けた患者、過去5年以内の悪性腫瘍患者、ゾリンジャーエリソン症候群、肝機能異常 等

 

副次評価項目:2週、4週時点の治癒割合、自覚症状、

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカムとしてよいだろう

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →されている

・解析方法は              →FAS PPS SAS

・追跡率               →おおむね両群95%程度

・追跡期間                →6-8週

・サンプルサイズ          →胃潰瘍215人、十二指腸潰瘍175人  

・スポンサー                →武田薬品

 

 【患者背景】

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【結果】

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【サブ解析】

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【自覚症状】

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【副作用】

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【まとめ・感想】

胃潰瘍は非劣性。十二指腸潰瘍についてはボノプラザンはランソプラゾールに対して非劣性を証明できなかった。

一般的にボノプラザンはCYPの影響を受けない、効果発現が早い、胃酸分泌抑制効果が協力等で宣伝されていることが多いと思われるが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療という点においてはCYP遺伝子多型がある患者においても(Table3)ランソプラゾールで十分治癒できると思われる。

ただ、胃潰瘍治療に関しては自覚症状改善の割合はボノプラザンのがよさそうにも見受けられるし、PMID12656699ではランソプラゾールはCYP2C19の遺伝子多型によって効果が変わることが示唆されるデータもある。ピロリ菌の除菌についてはボノプラザン使用のが優れていることが他の文献からは示されており、NSAID併用時の潰瘍予防(PMID29196436)やGERD(PMID26559637)などの結果も確認しながらしっかりと適応、適した症例を見極めて使用していくことが必要だろう。

コストや未知の副作用なども考えれば、現状わかっているデータからは既存PPIから全例ボノプラザンに切り替えるほどのインパクトはないのではないか。

 

【参加者の感想】

・1stで積極的に使用するような成績ではなさそうですね。

・そもそも胃潰瘍、十二指腸潰瘍に対するランソプラゾールの効果もどれくらいなのかあいまいだった。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍にはランソプラゾールで十分そうですね。

・とりあえずピロリ菌除菌が主な戦場ですか?

・自覚症状が強そうな症例では選択肢になるのかも?