病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

4-PCC(ケイセントラ®️)固定用量について

ワーファリン使用時の大出血や、緊急の侵襲的処置の前に4-PCC製剤(ケイセントラ®️)を使用することがある。

 

添付文書では可変用量であり、PT-INRと体重によって投与量を調節する必要がある。

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ケイセントラ®️添付文書より

 

 

一方で固定用量での有用性を示す報告もいくつかある。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

・固定用量1500IUの投与。体重100kg以上もしくはINR7.5以上の場合は2000IU

主要評価項目はINR2未満の達成

→体重ベースと比較して非劣勢

 

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

・40kg以下では1000IU、41-60kgでは1500IU、61-80kgでは2000IU

主要評価項目は投与後6時間以内のINR1.5未満

→ベースのINR4.5未満であれば効果的。4.5以上だと足りないかも。

 

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

・固定用量1040IU

主要評価項目はINR2未満

→体重ベースと比較して非劣勢だがベースのINRが7.5以上だと体重ベースのがいいかも?

 

 

Uptodateでは固定用量として

・1000-2000単位、頭蓋内出血の場合は1500-2000単位が推奨されている。

 

 

 

新線凍結血漿FFP)では投与が30分遅れるごとに24時間以内のINR逆転のオッズが20%減少するとのことで、4-PCCであっても理論的にはなるべく早急に投与したほうがよいと思われる。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/01.STR.0000195047.21562.23

 

固定用量にすることで、投薬指示から実際に投薬するまでの時間が15分程度早くなることも示されており、コストも1000ドル程度安くすることができた。

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11239-017-1586-x

 

 

他にも固定用量での有効性や安全性を検討したものがいくつかありそう。

ベースのINR、頭蓋内出血かどうか、体重がどれだけかなど検討する要素はいくつかありそうだが、それらを検討した上で固定用量での院内プロトコル作成をしてもよいかもしれない。

頻繁に使用する薬剤ではないだけに、使用する際に慌てることがないよう事前にいろいろ決めておくのはいいことだと思う。

 

以下4-PCC固定用量についての総説

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

固定用量でやってる施設とかあるんですかね?

もしあれば教えてください。