病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

【RCT】CTRX耐性(ESBL)のKlebsiellaまたはE.coli血流感染に対してMEPMとTAZ/PIPCどちらが有効ですか?【MERINO trial】

【背景】

ESBL産生菌の菌血症に対しては通常カルバペネムが用いられるが、TAZ/PIPCの感受性があれば使用されることがある。

Merino trialの結果が出たので読んでみる

 

参考文献:Effect of Piperacillin-Tazobactam vs Meropenem on 30-Day Mortality for Patients With E coli or Klebsiella pneumoniae Bloodstream Infection and Ceftriaxone Resistance

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30208454

PMID:30208454

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)

論文の内容

P:18歳以上(シンガポールは21歳以上)のCTRX耐性のE.coliもしくはKlebsiella pneumoniae菌血症患者391人

I:MEPM(1g*3/日) 4-14日 腎機能によって減量

C:TAZ/PIPC(4.5g*4/日) 4-14日 腎機能によって減量

O:30日以内の死亡

 

※除外基準:多菌性菌血症、アレルギー、治療意図のない投与、余命の見込み96時間以下

 

※腎機能別減量基準

f:id:pharmapon:20180919013525p:plainf:id:pharmapon:20180919013545p:plain

JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →真のアウトカム

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →オープンラベル

・無作為化されている        →されている       

・解析方法は              →per protocol解析

・追跡率                 →99.7%

・患者背景             →下記図を参照   

  

【患者背景】f:id:pharmapon:20180919012805p:plain

JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用

 

【結果】f:id:pharmapon:20180919012836p:plain

 JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用

 

f:id:pharmapon:20180919012850p:plain

 

 JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用

 

 

●副作用

 非致死的なものはTAZ/PIPC:2.7%  MEPM:1.6%

詳細はSupplement2のtable6.7参照

 

【まとめ・感想】

CTRX耐性菌にはMEPMのが優れているという結果。

尿路・中心静脈カテーテルや尿路感染由来、qSOFAなどをみると少しMEPM群有利な患者背景にも見える。

TAZ/PIPCでも全く効いていないわけではなさそうなので、TAZ/PIPC使用で改善が見られていればそこからMEPMに変更まではしなくてよさそう。

とりあえず自分からはTAZ/PIPCを積極的に提案することは今後もなさそう。

CMZとかFMOXはどうなのかも知りたいところ。

 

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