病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

【RCT】低用量アスピリン使用時のボノプラザン(タケキャブ)の効果はどうですか?

【背景】

最近やっとボノプラザンが採用となり、かなりの量が使用されるようになっている。

なかにはPPIをすべて切り替えているDrもいるので復習。

 

参考文献:Vonoprazan prevents low-dose aspirin-associated ulcer recurrence: randomised phase 3 study.

PMID:29196436

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29196436

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)非劣性試験 非劣性マージン8.7%

論文の内容

P:消化性潰瘍既往で、低用量アスピリン継続が必要な患者(621人)

I:ボノプラザン10㎎

I:ボノプラザン20㎎

C:ランソプラゾール15㎎

O:消化性潰瘍の再発(24週)

 

※除外基準:

アスピリン喘息の既往

胃酸分泌に影響を与える手術の予定または既往

Zollinger-Ellison症候群または他の胃酸過剰分泌障害

腎障害、肝障害、5年以内の悪性腫瘍既往

 

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか       →真のアウトカムでよさそう

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →二重盲検されている      

・解析方法は              →FAS解析

・追跡率               →92%くらい

・追跡期間               →24週

・患者背景             →下記図を参照   

  

【患者背景】f:id:pharmapon:20181102153651p:plain

2018 Jun;67(6):1033-1041.より引用

 

【結果】

 24週

ランソプラゾール15㎎

ボノプラザン10㎎

ボノプラザン20㎎

消化性潰瘍再発率

2.8%

0.5%

1.5%

胃・十二指腸の出血

2.9%

0%

0%

重篤な副作用

1.4%

2%

2%

ランソプラゾール ボノプラザン10㎎(95% CI −4.743 to 0.124)

ランソプラゾール ボノプラザン20㎎( 95% CI −4.095 to 1.523)

 

f:id:pharmapon:20181102153715p:plain

2018 Jun;67(6):1033-1041.より引用

 

 【有害事象】f:id:pharmapon:20181102153732p:plain

2018 Jun;67(6):1033-1041.より引用

 

【まとめ・感想】

 24週のフォローではボノプラザンでランソプラゾールより再発が少ない傾向はあるもののランソプラゾールと非劣性。

その後の2年間のフォローではボノプラザンのがよさそうな結果。

確かにピロリ菌除菌時はボノプラザンはよさそうな印象だが、他の臨床試験の(PMID:27891632)結果などをみても既存PPIに対して圧倒的な結果などは出せていないし、個人的には全例既存PPIから切り替えるほどではない気がする。

コストや未知の副作用を考えると既存PPI使用下でも再発があった場合に考慮するくらいかなぁという印象。

ただ、たまにPPIからボノプラザンに変えると胸焼け症状がかなり良くなった!という患者さんも経験する。

 

感染症プラチナマニュアル 2018
by カエレバ