【RCT】PCI後DAPT構成薬の切り替えは有効ですか?
【背景】
PCIでステント留置後の患者はDAPTが推奨されている。
近年プラスグレルやチカグレロルなど新規のP2Y12阻害剤が発売され、アスピリン+クロピドグレルよりも有効な可能性が示唆されているが、出血が多い可能性がある。
参考文献:Benefit of switching dual antiplatelet therapy after acute coronary syndrome: the TOPIC (timing of platelet inhibition after acute coronary syndrome) randomized study.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28510646
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
I:アスピリン+新規P2Y12阻害剤で1か月。その後アスピリン+クロピドグレルで11か月。
C:アスピリン+新規P2Y12阻害剤を1年継続
O:ACS発症後1年の心血管死、緊急冠動脈血行再建に至る緊急入院、脳卒中、出血
※除外基準:頭蓋内出血の既往、アスピリン、P2Y12阻害剤の禁忌、過去12か月の大量出血、妊婦、血小板減少症、ACS後1か月以内の重大な有害事象
※研究前未治療だった患者はアスピリン300㎎。PCI前にチカグレロル180㎎またはプラスグレル60㎎でloading。
維持量はアスピリン75㎎+チカグレロル180㎎/日orプラスグレル10mg/日orクロピドグレル75㎎
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカム
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →オープンラベル
・無作為化されている →されている
・解析方法は →mITT解析
・追跡率 →約98%
・追跡期間 →1年
・患者背景 →下記図を参照
【患者背景】
Eur Heart J. 2017 Nov 1;38(41):3070-3078より引用
Eur Heart J. 2017 Nov 1;38(41):3070-3078より引用
【結果】
Eur Heart J. 2017 Nov 1;38(41):3070-3078より引用
primary endpoint
Eur Heart J. 2017 Nov 1;38(41):3070-3078より引用
bleeding
Eur Heart J. 2017 Nov 1;38(41):3070-3078より引用
subgroup
Eur Heart J. 2017 Nov 1;38(41):3070-3078より引用
【まとめ・感想】
プラスグレルは日本と投与量が全く異なる点はあるもののクロピドグレルへの切り替えで出血は少ない。むしろ虚血も少ない傾向。
少なくとも切り替えであまり悪い結果はなさそうなので、コスト的にも切り替えは考慮してよさそう。
ただ、現状は推奨されるDAPTの期間もある程度幅があり、しっかり定まっているわけではないのでDAPTをどれだけ継続するのかなども考える必要あり。
ちなみに当院でP2Y12阻害剤を途中で切り替えることはしていない。
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【RCT】血液透析患者にスタチンは有効ですか?【AURORA】
【背景】
4Dと共に透析患者へのスタチンの有効性をみたAURORAを読んでみる
参考文献:Rosuvastatin and cardiovascular events in patients undergoing hemodialysis
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19332456
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:50-80歳の3か月以上血液透析している患者2776例
I:ロスバスタチン10mg/day
C:プラセボ
※除外基準:6か月以内のスタチン使用、腎臓移植予定患者、余命1年未満と思われる患者、悪性腫瘍の既往、コントロールされていない甲状腺機能亢進、高CPK、高ALT
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカム
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →二重盲検
・無作為化されている →されている
・解析方法は →ITT解析されている
・追跡期間 →3.2年(中央値)
・患者背景 →下記図を参照
・スポンサー →アストラゼネカ
【患者背景】
Table1 | Rosuvastatin | Placebo |
Age | 64.1±8.6 | 64.3±8.7 |
Female sex | 538(38.7%) | 512(37.0%) |
BMI | 25.4±4.7 | 25.4±5.1 |
SBP | 137.1±24.5 | 136.8±24.5 |
DBP | 75.9±12.8 | 75.6±12.5 |
LDL(mg/dl) | 100±35 | 99±34 |
Clinical history | ||
Diabetes | 388(27.9%) | 343(24.8%) |
Cardiovascular disease | 549(39.5%) | 556(40.2%) |
Myocardial infarction | 146(10.5%) | 136(9.8%) |
N Engl J Med 2009; 360:1395-1407より
【結果】
Primary end point | Rosuvastatin vs Placebo Hazard Ratio (95% CI) |
Combined outcome | 0.96(0.84-1.11) |
Death from cardiovascular causes | 1.00(0.85-1.16) |
Nonfatal myocardial infarction | 0.84(0.64-1.11) |
Nonfatal stroke | 1.17(0.79-1.75) |
N Engl J Med 2009; 360:1395-1407より
【まとめ・感想】
やはり透析患者へのスタチンは心血管イベントを予防できないという結果。
Figure3をみるとどのサブグループでもスタチンの有効性は示されていない。
透析前からスタチンを飲んでいる場合は中止してもよいかどうかはわからないけれど、透析開始後に開始されるスタチンの必要性は薄いかもしれない。
ただ、Table3からプラセボに比べて特別副作用は多くなさそう。
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【RCT】血液透析をしているT2DM患者にスタチンは有効ですか?【4D study】
【背景】
SHARP、AURORAなども含めて、自分が定期的に論文を読むきっかけになった文献である。せっせとスタチンを提案していた自分はかなりの衝撃を受けた覚えがある。
参考文献:Atorvastatin in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus Undergoing hemodialysis
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:維持透析を始めて2年未満の18~80歳のT2DM患者1255例
I:アトルバスタチン20㎎/日
C:プラセボ
O:心臓死、致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合
※除外基準:LDL-C<80㎎/dlまたは>190mg/dl、TG>1000㎎/dl、肝機能異常、3か月以内のPCI施行例、慢性心不全患者、収縮期200以上・拡張期110以上の高血圧
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカム
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →二重盲検
・無作為化されている →されている
・解析方法は →ITT解析されている
・追跡期間 →4年(中央値)
・患者背景 →下記図を参照
【患者背景】
Characteristic | Placebo | Atorvastatin |
Age | 65.7±8.3 | 65.7±8.3 |
time receving dialysis(mo) | 8.4±6.9 | 8.2±6.9 |
SBP | 145±22 | 146±22 |
DBP | 76±11 | 76±11 |
BMI | 27.5±5.0 | 27.6±4.6 |
LDL-C | 127±30 | 125±29 |
Myocardial infraction(%) | 17.3 | 17.9 |
Stroke or TIA | 18.2 | 17.4 |
N Engl J Med. 2005 Jul 21;353(3):238-48.より引用
【結果】
Endpoint | Placebo | Atorvastatin | RR | (95%CI) |
Primary | 243(38) | 226(37) | 0.92 | 0.77-1.10 |
death from cardiac causes | 149(23) | 121(20) | 0.81 | 0.64-1.03 |
Nonfatal myocardial infarction | 79(12) | 70(11) | 0.88 | 0.64-1.21 |
Fatal stroke | 13(2) | 27(4) | 2.03 | 1.05-3.93 |
Nonfatal stroke | 32(5) | 33(5) | 1.04 | 0.64-1.69 |
All cardiac events combined | 246(39) | 205(33) | 0.82 | 0.68-0.99 |
Death from all causes | 320(50) | 297(48) | 0.93 | 0.79-1.08 |
N Engl J Med. 2005 Jul 21;353(3):238-48.より引用
【まとめ・感想】
HDをしているDM患者へのスタチンは心血管イベントを減らすことができないという結果。心臓死は減る傾向があるようにも見えるが、致死的脳卒中は有意に増えている。
実臨床でもHD患者へスタチンが開始されることはあるが、処方意図は確認したほうがよいかと思われる。
SHARP、AURORAも記事にできれば。
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【RCT】CTRX耐性(ESBL)のKlebsiellaまたはE.coli血流感染に対してMEPMとTAZ/PIPCどちらが有効ですか?【MERINO trial】
【背景】
ESBL産生菌の菌血症に対しては通常カルバペネムが用いられるが、TAZ/PIPCの感受性があれば使用されることがある。
Merino trialの結果が出たので読んでみる
参考文献:Effect of Piperacillin-Tazobactam vs Meropenem on 30-Day Mortality for Patients With E coli or Klebsiella pneumoniae Bloodstream Infection and Ceftriaxone Resistance
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30208454
PMID:30208454
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:18歳以上(シンガポールは21歳以上)のCTRX耐性のE.coliもしくはKlebsiella pneumoniae菌血症患者391人
I:MEPM(1g*3/日) 4-14日 腎機能によって減量
C:TAZ/PIPC(4.5g*4/日) 4-14日 腎機能によって減量
O:30日以内の死亡
※除外基準:多菌性菌血症、アレルギー、治療意図のない投与、余命の見込み96時間以下
※腎機能別減量基準
JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカム
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →オープンラベル
・無作為化されている →されている
・解析方法は →per protocol解析
・追跡率 →99.7%
・患者背景 →下記図を参照
【患者背景】
JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用
【結果】
JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用
JAMA. 2018;320(10):984-994.より引用
●副作用
非致死的なものはTAZ/PIPC:2.7% MEPM:1.6%
詳細はSupplement2のtable6.7参照
【まとめ・感想】
CTRX耐性菌にはMEPMのが優れているという結果。
尿路・中心静脈カテーテルや尿路感染由来、qSOFAなどをみると少しMEPM群有利な患者背景にも見える。
TAZ/PIPCでも全く効いていないわけではなさそうなので、TAZ/PIPC使用で改善が見られていればそこからMEPMに変更まではしなくてよさそう。
とりあえず自分からはTAZ/PIPCを積極的に提案することは今後もなさそう。
CMZとかFMOXはどうなのかも知りたいところ。
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【まとめ】オピオイドスイッチングについて
【背景】
循環器病棟で仕事をしているとオピオイドに触れる機会は少ないが、普段関わらない分野ほどすぐ参照できる資料を持っていたほうがよい気がしている。
個人的に参照しやすいよう計算不要な表にまとめている。
https://drive.google.com/file/d/1X2326T-JtbJxGxJYVHHFl8Lii8N07-7Q/view?usp=sharing
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【RCT】フェブキソスタットは腎機能低下を抑制できますか?【FEATHER study】
【背景】
高尿酸血症は腎機能低下に寄与する説があるが、いまいちしっかりとしたエビデンスはなく仮説の域を出ていない。FEATHER studyの結果を読んでみる。
参考文献:Febuxostat Therapy for Patients With Stage 3 CKD and Asymptomatic Hyperuricemia: A Randomized Trial
https://www.ajkd.org/article/S0272-6386(18)30834-5/fulltext
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:20歳以上で7.0-10.0mg/dlの高尿酸血症かつCKDstage3の患者
I:フェブキソスタット10-40mg
C:プラセボ
O:eGFRの変化
※除外基準:コントロール不良のDM(HbA1c8.4%以上)、160/100以上の高血圧、AST/ALTが施設基準の2倍以上、12週間以内のクレアチニン50%以上の変動、ネフローゼ、透析、腎移植など。他の尿酸降下薬の使用、アザチオプリンなどの使用、妊娠など。
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカム?でよいかな
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →二重盲検されている
・無作為化されている →されている
・解析方法は →ITT解析されている
・追跡期間 →108週間
・追跡率 →99%
・患者背景 →下記図を参照
・スポンサー →帝人ファーマ
【患者背景】
(Am J Kidney Dis. 2018 Aug 31 pii: S0272-6386(18)30834-5より引用)
【結果】
(Am J Kidney Dis. 2018 Aug 31 pii: S0272-6386(18)30834-5より引用)
●eGFR slopeのサブ解析
(Am J Kidney Dis. 2018 Aug 31 pii: S0272-6386(18)30834-5より引用)
●血圧変化
(Am J Kidney Dis. 2018 Aug 31 pii: S0272-6386(18)30834-5より引用)
●痛風発作
The incidence of gouty arthritis was significantly lower (P = 0.007) in the febuxostat group (0.91%) than in the placebo group (5.86%)
●副作用
(Am J Kidney Dis. 2018 Aug 31 pii: S0272-6386(18)30834-5より引用)
【まとめ・感想】
タンパク尿がない患者や血清クレアチニンが中央値より低い患者では有意差がでているものの、個人的にはあまり効果があるようには見えない。
全体としては有意差なしなので、ある限られた集団にはある程度の効果が得られる可能性はあるのかもしれない。
腎臓には詳しくないので腎専門の先生の解釈を聞いてみたいところ。
血圧に関しては誤差の範囲のような気が。。。
痛風発作はしっかり減ってる。
CARESではアロプリノールに比べて全死亡などは増える傾向が見られたが、FEATHERではプラセボにくらべて有害事象は特に増えている印象はない。
むー・・・いろいろよくわからない。
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【RCT】バロキサビル(ゾフルーザⓇ)の有効性・安全性はどうですか?【CAPSTONE1】
【背景】
次のシーズンで使用量増加が予想されるバロキサビルの臨床試験の結果がNEJMに出ていたのでそちらを。
参考文献:Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1716197?query=featured_home
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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験)
論文の内容
P:12-64歳の合併症のない急性インフルエンザ罹患患者
I:バロキサビル40-80㎎
C:プラセボ
C:オセルタミビル75㎎/日を5日間
O:インフルエンザ症状緩和までの時間
※除外基準:妊娠中の女性、体重40㎏未満、入院患者、基礎疾患をもつ患者
【確認ポイント】
・Primary Outcomeは明確か →明確である
・真のアウトカムかどうか →真のアウトカムといえる
・適切なランダム化がされているか →されている
・盲検化されているか →二重盲検されている
・無作為化されている →されている
・解析方法は →ITTI解析されている
・追跡率 →95%
・患者背景 →下記図を参照
・スポンサー →塩野義製薬
【患者背景】
Table1
【結果】
●インフルエンザ症状緩和までの時間(バロキサビルVSプラセボ)
Figure2→53.7hr vs 80.2hr (有意差あり)
●インフルエンザ症状緩和までの時間(バロキサビルVSオセルタミビル)
Figure S4→53.5hr vs 53.8hr (有意差なし)
●副作用
Table2 バロキサビル vs プラセボ vs オセルタミビル
全有害事象→20.7% vs 24.6% vs 24.8%
【まとめ・感想】
インフルエンザ症状緩和までの期間はオセルタミビルと同等という結果。
ウイルス減少までの時間はバロキサビルが有意に短いが、それが実際にどういう結果となって現れるかは不明。アウトブレイクしづらいとかに繋がれば有用かも?
→FDAの資料では1-3日間の家族内感染率でも有意差はついていない。
オセルタミビルが5日間しっかり飲めない、他薬剤で吸入手技が難しいなどあれば選択肢となるかもしれないが、この試験ではそのような患者は対象ではない。
コストや未知の副作用の可能性などを考えると現状すぐに第一選択にする理由には乏しい印象。H3N2型への投与では成人で約10%、小児では約20%が耐性化するとの情報もすでにある。
そもそもインフルエンザ薬は症状改善まで1日早める程度の効果。薬を使用するかどうかも考慮すべき問題だろう。
ハイリスク患者へのCAPSTONE2の論文化を待ちたいところ。
薬剤部的には吸入指導の手間が少なくなるなどのメリットはある。
Supplementary Appendix
https://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa1716197/suppl_file/nejmoa1716197_appendix.pdf
誰も教えてくれなかった実践薬歴 | ||||
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薬局で使える実践薬学 | ||||
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