病院薬剤師pharma.ponの備忘録

とある総合病院で働く薬剤師が備忘録としていろんなことを記録していきます。

【RCT】フェブキソスタットで脳心腎イベントは減りますか?【FREED】

フェブキソスタットの脳心腎イベントが減るかどうかを日本人対象で行ったFREEDの論文が出たので読んでみる

 

参考文献:Febuxostat for Cerebral and CaRdiorenovascular Events PrEvEntion StuDy

https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz119/5371086

 

下記文献でも試験概要など書いてある

https://www.clinicalkey.jp/#!/content/playContent/1-s2.0-S0914508716000629?returnurl=https:%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0914508716000629%3Fshowall%3Dtrue&referrer=https:%2F%2Fwww.ncbi.nlm.nih.gov%2Fpubmed%2F27005768

PMID: 27005768

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研究デザイン:RCT(ランダム化比較試験) 

論文の内容

P: 脳心血管疾患リスクをもつ血清尿酸値7.0-9.0mg/dLで65歳以上の外来患者

I:フェブキスタット

C:尿酸値の上昇があればアロプリノール100㎎

O:脳血管障害、心腎血管障害による死亡、脳血管疾患、非致死的心疾患、心不全による入院、動脈硬化性疾患(大動脈瘤、解離、閉塞性動脈硬化)、腎障害(微量アルブミン尿、顕性タンパク尿、SCrの倍増、タンパク尿の悪化)、心房細動の複合

 

副次的評価項目:脳血管障害、心血管障害、腎血管障害、血清尿酸値による脳血管障害、心血管障害、腎血管障害、脳血管障害、心血管障害の病歴の各要素。

血清尿酸、eGFR、尿中ミクロアルブミン/クレアチニン比、尿中タンパク質量、血圧の絶対値と変化

 

※フェブリクは10㎎から開始、4週後に20㎎、8週目に40㎎

※非フェブリク群は尿酸値上昇したらアロプリノール100㎎

※尿酸値2以下にはしないよう調整

 

【組入基準】

・65歳以上の外来患者

・血清尿酸値7.0-9.0mg/dL

・脳心血管疾患リスクがある患者(高血圧、T2DM、腎障害eGFR:30-60mL/min/1.73m2、3か月以上前の脳循環器疾患)

 

【除外基準】

・活動性の痛風患者または1年以内の痛風関節炎患者

・フェブキソスタットorアロプリノール過敏症

・悪性腫瘍患者

ネフローゼ、透析、移植腎、eGFR30mL/min/1.73m2以下

・3か月以内の急性冠症候群、脳卒中

・3か月以内にSCrが50%以上増加している患者

・3か月以内の重症高血圧患者(180-110)

・肝障害(AST,ALTが施設基準2倍以上)

・6MP、アザチオプリン、ビダラビン、ジダノシン使用患者

・1か月以内に尿酸降下薬を使用した患者

・1か月以内に次記の薬の開始、変更(ロサルタン、イルベサルタン、フェノフィブラート、チアジド、ループ)

・ホルモン補充療法のためにエストロゲン製剤を投与されている患者

  

【確認ポイント】

・Primary Outcomeは明確か      →明確である

・真のアウトカムかどうか      →おおむね真のアウトカムといってよさそう

                   比較的ソフトなエンドポイントもあり。

・適切なランダム化がされているか   →されている

・盲検化されているか         →オープンラベル (PROBE法)    

・解析方法は              →ITT  PPS

・追跡率               →約83%

・追跡期間                →約35か月(中央値)

・患者背景             →下記図を参照

・サンプルサイズ          →1000人 各グループ500人

・スポンサー                →帝人ファーマ

 

【患者背景】

Table1参照してください

 

【結果】

Table2参照、TableS5、TableS6など参照

 

【まとめ・感想】

PROBE法でソフトエンドポイントも含まれており、そもそも複合するエンドポイントも数がかなり多い。尿酸値も有意に差がついているのでフェブキソスタットによる効果なのか尿酸値が低いことによる効果なのかの見分けがつかない。少しデザインに問題がありそう。

主要評価項目で有意差は出ているものの腎障害によるものが大きく、脳心血管イベントなどは差がない。腎障害によるものもTableS6をみるとアルブミン尿のみの差のよう。

eGFRでは差はついておらず、FigureS5からも特に差はない。

そもそも相手は7割無治療。(3割くらいはアロプリノール投与されてる)

 

やはり尿酸値をしっかり下げたほうがよいかどうかは不明。この試験を見るに積極的に下げる必要性は薄いように思われる。

FEATHER Studyでも結果はnegative。尿酸低下療法にもし効果があったとしても限られた患者層、もしくは単一介入では効果が見られないほど小さな影響か。

ただ、入院中だと尿酸値10を超える患者もザラにいるので、そのような患者と下げた方が良い可能性はあるかも?

 

一応uptodateによると尿酸値を下げることによる腎保護は観察研究などで示唆されているものの明確に下げたほうがよい。と結論するようなデータはないとのこと。

無症候性の高尿酸血症を治療することを強く推奨はしていない。

 

アルブミン尿が改善することでかなり長期的(10年、20年とか)に服用した場合に影響が出てくる可能性はあるのかな?よくわからない。